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「ギタリスタス日本」'97 独重奏公演

- 表現力さらに充実! -


小山 清と村上幸史の二重奏


文:ステージマネージャー、林田俊一

 21世紀型ギター独奏グループ「ギタリスタス日本」が毎年各地で行なっているこの「ギタリスタス日本」(以降「G日本」)公演は、ニイボリメソードのあらゆる楽器を駆使した素晴らしい演奏により、各地で絶賛を浴びています。今年の公演は、名古屋・東京・伊豆の3ケ所で行なわれ、各所で熱い感動を巻き起こしました。今回はそんなスーパーギタリスト達のステージでは普段見られない舞台裏を交え、初の名古屋公演を中心に紹介してみましょう。

 名古屋新堀ギター音楽院院長・小林秀明の主催で開催された名古屋公演は、7/13(日)今池ガスホールという名古屋屈指の繁華街にそびえ立つ素晴らしいホールで行なわれました。


"熱く新鮮に"


百瀬恭子
 今年の「G日本」'97、トップは百瀬恭子による「ジョン・スミス卿のアルメイン」(ダウランド)。眩しいばかりのドレスを身にまとって、さっそうとステージへ。照明が打ち合わせどおりに美しく絞られ、名古屋で初めてG日本の"熱く新鮮"で気品に溢れた第一音が、小さなソプラノ型複弦アルトチエンバロギターから送り出されました。次は今回の「G日本」で一番若くフレッシュな垂石雅俊君による「タンゴ・アン・スカイ」(ディアンス)です。彼は、何とまだ国際新堀芸術学院(3年生)に在学中ですが、卓越したテクニックが認められ、今回の大抜擢となりました。ベテランの演奏者のほとんどが控室のモニターをジーッと見ている中、彼の緊張感は最高潮に達しているようでした。出演直前に私と握手を交わし、緊張を少しでも和らげようとしているのを感じました。しかし、明るくはつらつとステージに登場し、先ほどの緊張とは打って変わった若さ溢れる、みずみずしい演奏を披露してくれました。そして次は、もう一人の新人、アルトギター独奏の藤本有香さん。現在日本ギター専門学校の4年生。彼女も今回初めてメンバーに抜擢された素晴らしい演奏者です。大宮哲教授作曲の「アルトギターの為の幻想曲さくら」を見事に演奏し聴衆を魅了していました。

伝統とオリジナルの融合

 その後、加藤あなみによりアルトチェンバロギターで、「無伴奏ヴァイオリンソナタ第3番よりラルゴ」(バッハ〜加藤編)がきらびやかな響きで奏でられました。アルトチェンバロギターは、百瀬恭子が弾いた複弦アルトチェンバロギターとは、形も奏法も違い、針を指にはめて演奏します。続いては、ギタロン第一人者の飯田文雄によるギタロンの独奏「ます」(シューベルト〜飯田編)です。飯田はとにかく明るい人で、本番に対し緊張するという事を知らないのかも知れないぐらい、直前までステージ袖で私と冗談を交わしていました。しかしいざ演奏となると、ギタロンの持ち味を十二分に発揮して、ゆとりの演奏を聞かせてくれました。次は、世界一のチェンバロギター名手、哘崎考宏。今年も複弦プライムチェンバロギターにより、最高の安定感でバッハの壮大な世界「フーガBWV1000」(バッハ〜哘崎編)を会場いっぱいにくり広げてくれました。さすが、楽器の持つ特徴を実にうまく表現し、バッハに相応しい格調高い演奏でした。前半の締めくくりに登場したのは、世界的に話題のNRM(ニイボリ・リズム・メソード)重奏。今年もニイボリギター.パーカッションアンサンブルの演奏は、素晴らしい盛り上がりを見せていました。今年の作品は、新堀ギター創立40周年を祝して作られたその名も「祝宴」(飯田文雄作曲)。これもまた代表作の一つとなることでしょう。

信じられないほどの感動

 後半トップは西川満志。11弦(高音)ギターにより、信じられないほどの美しい音で「無伴奏ヴァイオリンソナタ第2楽章よりアンダンテ」(バッハ〜西川編)を奏でました。演奏が終わった時には、会場から感動のため息が込み上げてきていたほどの反響でした。さて、次の演奏は毎年好評のエレキギター(百瀬賢午)とプライムギター(井上智生)&ギタロン(飯田文雄)の重奏です。今回は大変技術的に難しい曲「常動曲」(パガニーニ)を演奏しました。そして本番は、リハーサルより更に早いスピードで見事に弾き切り、聴衆から割れんばかりの拍手を頂いていました。演奏が終わり袖に帰ってきたときは汗びっしょり、自分達でもビックリしていたのかも知れません。それほど、すごいバトルが繰り広げられたのです。

風格の中にも挑戦をみる

今年も魅せてくれたエレキギター&プライムギターの重奏
 そしていよいよ今回の主催者、小林秀明の登場です。7弦バスギターによる独奏で「ロンドンデリーの歌」(スコットランド民謡〜小林編)を演奏しました。やはり、生徒の前での演奏はかなり緊張されているように感じられました。水を打ったような静けさの中をバスギターのまるで人が歌っているように響き、感動的なうねりが響き渡りました。演奏が終わると、熱い拍手が会場いっぱいに鳴り響きました。次は「G日本」では定番となった、ベテラン小山清材上幸史の二重奏。今年は「タンゴ組曲より第l楽章」(ピアソラ)に挑戦しました。いつも素晴らしい演奏を聴かせてくれる二人ですが、その練習方法には驚かされます。小山は新潟にある新堀芸術学院の教授であり、村上は伊豆の日本ギター専門学校の教授で、各々多忙なスケジュールを毎日こなしています。二人は、ほとんど顔を合わせる事が無く、二人合わせての練習時間もわずかしかありません。時には電話で曲想の打ち合わせをし、電話口で歌って練習するそうです。それでもあれだけの演奏が可能というのは、さすがとしか言い様がありません。そして最後は「G日本」会長の坂本巧。やはり会長というだけあって、ステージ袖でも堂々としていらっしゃいました。ステージにあがっても巨匠の香りを漂わせながら、「小麦畑にて」(ロドリーゴ)、「歌と踊り」(ピポー)の素晴らしい演奏を披露され、プライムギターの最高の魅力を聴衆に届けていました。


この様に、ニイボリメソードの各音域ギターを駆使して繰り広げられる「G日本」公演。来年も各地の素晴らしいホールで皆様にお会いできるのを楽しみにしております。



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